傘さして

表参道のGALLERY 360°に宇野亜喜良さんの「シャンパン・オペラ」という作品展を見に行った。シャンパンの栓の金具の上に、小さなオブジェがのっている。「ぜひ行くべき」と薦められて行ったのだけど、見ておいて良かったと思う。白い壁に、ただ作品が並んでいた。飾りつけなどなく。そんな見せ方にまず魅せられた。そうして小さなところにぎゅっと世界が存在するところが、その世界がどんなに小さくてもやっぱり宇野さんの世界なところが素敵だった。ほかに誰もお客さんがいなかったので、行ったり来たりしながらじーっくり見ていた。






そのあと雨の中、渋谷まで歩いて「タマラ・レンピッカ展」に行った。タマラの絵は宝石のようだと思う。昔、友人に画集は見せてもらっていたけれど、実物がこんなにも美しいとは。絵の前で驚いてしまった。だけど亡くなる前に描かれた絵も、華やかだった頃とはまるで違う絵なのだけど、力がなくなって描けなくなったのであろう痕跡まで見えて、涙が出るほど感動してしまった。何度も画風を変えようと苦労して、それが成功したとは言えなくても、死ぬまで描くことを投げ出さなかったのだなと。カタログは高いから買わなかった。もしそんな余裕があるのならばもう一度来ようって思って。



折りたたみ傘は風でぺこぺこそりかえる。急に降り出した雨に、そんなぺこぺこする傘をさした人がいっぱい歩いていた。私の傘もぺこぺこしていた。