とりとめなく

近所の外猫らしき三毛猫に、また子どもが生まれた。
夕べ遅くにその家の前を通ったら、雨戸の閉められた小さな庭のすみに母猫が横になっていて、その背中にくっついて小さな茶トラが2つ寝ていた。
お母ちゃんだけはきらりと目を光らせてこちらを見ていたけど、チビたちはぐっすり眠っていた。
「また大変だねー」と小さく声をかけてみたけど、彼女にとっては何も大変だなんて思わないであろうことがすごいと思うんだ。
誰かのせいにするわけでもなく、子育てを放棄するわけでもなく、日々坦々と暮らしていくだけのこと。
人間の弱さは、へんにいろいろ考え過ぎてしまうことにあるのかもしれない。
テレビで浦沢直樹さんが、マンガをがんがん描いていると、時々頭で思った映像が、迷い線のない、そのままペン入れのできる絵でどんどん描けることがあり、そんな時神様が降りてきてるって言っていた。すごいすごいってどんどん描いて、だけどそこまでいくと翌日体調がわるくなるって。
多分「自分」ってとても邪魔なのねっと、この頃私は思っていて、勝手に手が動きだした時にきっといいものが作れるんだろって思う。
人間だから考えて考えて生きるけど、その果てのどこかにそういう到達点がきっとあるはずなの。
私の作るものたちはこのまま地味に消えていくのだけど、そんなふうに作れたら、それでいいや。