今日読み終わった小説。

病院で寝たきりのお母さん。今は眼球を動かすこともできない。
動くことの出来る最後の日々、お母さんは少しずつ言葉が出にくくなっていく。
お母さんの口から、言葉は一雫一雫こぼれるように落ち、「私」は掌をお椀のようにして受け止める。
やがてお母さんは静けさの中に沈んでゆく。
そのようにして声だけをまずはあちらの世界へ送り届けた。
その後、歩く力や眼球を動かす力も少しずつあちらの世界に送り届けてゆくお母さん。


今日健康診断に行った。右目の視力が落ちていた。
私のうんと良かった視力も、あちらの世界に行ったのだなと思った。


今日読み終わったのは、小川洋子さんの『原稿零枚日記』です。