夕方、仕事の途中で外に出た。
夜の始まりの空は、下のほうにまだ薄く紅が残っていて、薄い水色から段々群青が濃くなっていく。
そこに宝石みたいな星が光っていて、いろいろな種類の無数の木の枝が、誰にも描けない繊細な線を引く。
向こうの老人ホームの小さな明かりが灯って、胸を締め付けられるような圧倒的な世界。
こんな絵を描けたらいいけど、死ぬまで描けるはずがない。

キーンっと寒くってもしっかりと記憶する。
それからまた働いて、夜の中を居眠りしながら帰った。