カラス

仕事に行く途中、コロコロと太った犬に会う。
犬は悲しいことがあったこどもみたいなわかりやすい目をしていて、卑屈に斜め下を見つめて歩いていた。
時々ああいう顔した犬に会うけど、どうしてあんなにすねたような顔になるんだろう、犬なのに。
その横でカラスが能天気に、しあわせそうに地面に降りたり飛び上がったりしていた。
住む所があって、食べ物が提供されるような恵まれた生活を送れず、「汚い!」と言われて追っ払われるようなことばかりでも、私はカラスのような人生がいいなっと思った。